インプラントの歯科医選び

インプラントのトラブル事例でも触れましたが、インプラントはどの歯科医も最低限持っている知識や技術ではありません。今やインプラントのできる歯科医院も右肩上がりで伸びています。本来なら広範囲にわたる専門知識や技術等が必要なインプラントですが、その一方で【新しい収益の柱】とされていることも事実です。なぜならインプラントは保険適用外の自由診療で、治療費の設定も歯科医個人で決定できるという側面もあるからです。

厚生労働省の平成24年10月1日現在における医療施設調査の結果によれば、歯科診療所は前回と比較して318施設増加して68,474もの施設があるということです。この数は、今やどこにでもあるというイメージの強いコンビニ(全国に約43,000店)よりも多いのです。そして更に、歯科医になる方も増えています。

その一方で歯科治療費の総額は横ばいという現実があります。となれば、限られたパイを今まで以上の競争相手と取り合うという形になり、その結果経営状態の悪化という事態に陥ります。このような歯科医療の経営環境の悪化も実はインプラントの広がりと無関係ではありません。ですから、【経営状態の良くない歯科医院が高い治療費を取れるインプラントに治療費目的で参入しているかもしれない】という可能性は知っておく必要があります。その上で、インプラントを安心して任せられる歯科医院はどんな歯科医院かをご紹介します。

1.スタッフの応対がいい

2.いきなりもしくは強引にインプラントを勧めない
インプラントはあくまでも歯科治療の選択肢のひとつであり、どんな歯科医でも、どんな患者にでもできるとは限りません。歯科医の実力によっても、患者の状態によってもインプラントができないというケースはあります。

3.他の治療法(入れ歯・差し歯・ブリッジ)をメリット・デメリットを交えて提案してくれる
治療方法を選択するのは患者であるあなたです。説明を良く理解した上で決断させてくれる歯科医がベターでしょう。

4.インプラント治療に入る前の検査をしっかりしてくれる
インプラントは重大な医療事故に繋がるリスクを伴います。そのリスクを回避するためにはどうしても事前検査はしなければなりません。そのために必要な設備があるかどうかも重要です。インプラントには3次元撮影できるレントゲンは必須です。3次元情報がないとインプラントに必要な骨の厚みや避けるべき神経や血管の正確な位置が把握できないので、それだけで重大な事故に繋がる可能性が高まります。
また、場合によってはインプラント治療に入る前に、虫歯や歯周病の治療を完了させなければならないこともあります。これを、「望んでいない余計な治療だ」というのは大きな間違いです。この部分は気をつけましょう。そして、カウンセリングを丁寧に行う事で疑問や不安を解消してくれる歯科医は、評判のいい先生であることが予想できます。カウンセリングに対する歯科医の姿勢もチェックしておくといいでしょう。

5.その上で治療計画を立て、費用等についての説明がある
インプラント治療は長期間にわたることが普通で、費用も高額です。カウンセリングをしっかりしてくれる歯科医なら治療計画も費用に関しても納得のいく説明をしてくれるはずです。

6.インプラントの「認定医」「専門医」「指導医」等であり、知識や技術があることの裏付けがある
インプラント治療はバーゲン等で衝動買いする高額なブランド品とは違います。つまり金額を最優先させるという選び方は控える方が賢明です。あなたが信用できると思った歯科医に任せるべきです。実際に、評判のいい歯科医院には遠方からの患者さんも長時間かけて通院されています。肩書きは一つの目安にしか過ぎませんが、信用できる歯科医を探す指標にはなります。